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カタツムリ小手で有名な元永武堂職人佐藤由文が新店舗を開店(インタビュー)

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佐藤由文社長と常連客A様による開店Q&A

Q カネハチ開店おめでとうございます。

A ありがとうございました。

Q 今回、防具工房カネハチとして開店されることになりましたが、どのようなお店にしたいですか?

A 子供から大人までいろんな世代の剣道愛好家の方々に愛されるお店にしたいと思っています。

Q 佐藤さんと言えばカタツムリ小手ですが、カタツムリ小手について教えてください。

A カタツムリ小手は当時の永武堂従業員の研究と努力の結晶だと思っています。
当時永武堂で作っていた防具はお世辞にも着装して美しいとは言い難い物でした。
村岡社長夫婦の人柄もありアルバイトのおばちゃん達も含めて何でも自由に話し合い楽しく仕事をしていたように思います。
そんな中で生まれたのがカタツムリ小手の原型でした。
使いやすくて美しい防具作りを目指して悩んでいた私にとって、特に小手を専門に作ってくれていたおばちゃんのアイデアと技術には助けられました。
当時はおばちゃんが小手を、私が面を中心に作っていました。
現在はおばちゃんも引退してオーダーメイドの小手も私が作っています。

Q カタツムリ小手についてもう少し詳しくお聞きします。
現在、名前は違ってもカタツムリ小手と同じ形状の小手が出回っていますが、それについてどう思いますか?

A 全国の防具職人の皆さんも、お客様からの要望や使いやすさを追求した結果、カタツムリのような形状をした小手が必要と考えたと思います。
例えば本来マジックは一般的には油性ペンの一種ですが、ポピュラーになってしまい油性ペンの呼称として使われています。小手もカタツムリに似た形状であればカタツムリ型の小手と言ってもいいのではないかと思っています。
実は私はカタツムリ小手以外にもいろんな形の小手を作っています。カタツムリ小手が万能であるとは思っていません。

Q それはどういうことですか?

A まず、竹刀の握り方が人によって違うという事が一番ですね。
特に最近は自由自在な竹刀操作を求めるためか右手をしっかり握る人が多くなりました。
そんな人にはカタツムリ小手は合わないようです。
また、私は7箇所の採寸をして小手を作るのですが、完璧に作った小手であっても、もう少しゆとりが欲しいと言われる方もいらっしゃいます。
ですから私は採寸の後にゆとりが欲しいか採寸通りでいいかという事を聞いてから作るようにしています。
また、特別指が長い人、指は短いが分厚い人等既製品では合わない方もいらっしゃいます。
お客様のご意見や要望を大切にしてお客様の希望に如何様にも対応する事を心掛けて作っています。

Q 面も作っているのですか?

A カタツムリ小手が有名になりましたが、私自身は面にかなり工夫をして来ました。

Q 佐藤さんが作る面は他の面とどのような違いがあるのですか?

A なるべく付けていてストレスが無くフィット感に優れた面を目指しています。
また、面ぶちを狭く鋭角に作る事でスッキリとスマートに見えるようになりました。
特に頭が大きい人は小さく見えて好評です。(笑)
垂れについても研究中です。
付けているが邪魔にならず、軽く締めるだけでも腰が締まり下腹に力が入る事を課題に研究中です。

Q 佐藤さんが作る防具はオーダーメイドなので高価になると思いますが既製品は無いのですか?

A もちろん既製品も用意しています。お客様の要望で既製品を手直しすることもあります。
特に子供用の既製品は発達が早いので少し大きめのサイズをお勧めしています。
特に面には当初布団を敷いてあげています。
大きくなって合わなくなってきたら外すというようになるべく長く使ってもらう事を考えています。
また、一番傷みやすい小手の手の内革の張替えや防具の洗浄等メンテナンスにも力を入れ早期の返却を心掛けています。

Q 遠隔地にお住まいのお客様については今後どのように対応して行くつもりですか?

A 今までは防具を作るだけの私でしたが、若い人の力を借りて全国に発信していくつもりです。
今までも全国各地(遠くは北海道)、また海外のお客様も数多くいらっしゃいましたが、ほとんど問題無く納品させて頂きました。
今後はさらに詳細な寸法測定とスマホ等の映像を利用し直接お客様のご希望を取り入れて参りたいと思っています。

Q 今後佐藤さんはこの防具工房カネハチをどのようなお店にしたいと考えていますか?

A 私の店は量販店ではなく価格競争では大手に太刀打ちできないのは身をもって感じております。
しかし私達には技術がございます。決して売りっぱなしにすることなく使えなくなる日まで責任をもってメンテナンスしていくことをお約束したいと思います。

まだまだコロナ禍の影響や少子化と人口減少で剣道人口も減り大変ですが、皆様とのご縁を大切に、カネハチと私を支えてくださるお客様のために働ける限り頑張りたいと思っています。

また、私が働けないような状況になってもお客様が安心できるように私の後継者を早く育てたいとも思っています。

今後とも皆様のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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